バイバイ、リトルガール ーわたし叔父を愛していますー
「さて。次はどこへ行こうか。」

「なにか甘いものが食べたいです。今ネットで調べてみますね。」

すみれはスマホを取り出し、巣鴨の甘味処を検索した。

「どこか行きたいお店あった?」

「はい。商店街から少し横道に入ったところに美味しいかき氷屋さんがあるみたいです。」

「かき氷か。いいね。では行ってみようか。」

その「雪氷」というかき氷屋はこじんまりとした和風の店で、大きなガラス窓からは店内の様子が伺えた。

並ぶことも覚悟しなければならないくらい人気の店だとネットでは書かれていたけれど、平日だからかすんなりと入ることが出来た。

店内は女性客が多く、迫田には少し居心地の悪い思いをさせてしまうのではないかというすみれの不安をよそに、当の本人は興味深げに店内をキョロキョロと観察していた。

「俺、かき氷屋って初めて入った。」

「私は親友の琴子に連れられて初めてかき氷を食べたんですけど、すごく美味しくて感動に打ち震えました。」

「それは楽しみだ。」

すみれは苺、迫田は抹茶のかき氷を注文し、何分も経たないうちにその大きな氷の山がふたりの目の前に置かれた。

「うわっ。思ってたよりデカいんだな。」

迫田が目を丸くして驚くのを横目に、すみれはスプーンで氷を崩さないように少しづつ掬って口に入れた。

「うーん。美味しい!」

迫田も恐る恐るかき氷を口にすると、眉を上にあげた。

「ん。美味い!氷がふわふわだ。」

迫田は大きな口を開けて、少年の様に笑った。


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