バイバイ、リトルガール ーわたし叔父を愛していますー
野口すみれは迫田航と結婚し、迫田すみれになった。
すみれは27歳、航は42歳。
ふたりの結婚は法律上、なんの問題もなかった。
しばらくして、ふたりは可愛い男の子を授かった。
ふたりはその男の子に「楓」と名付けた。
「楓。ほら、ブーブーだよ!」
2歳の楓のマイブームはおもちゃのミニカーを、自分の手で走らせて遊ぶことだった。
航は自分のコレクションであるミニカーを、惜しみなく楓に手渡し遊ばせた。
すみれは子供の頃から大切にしまっておいた、黄色いワーゲンのミニカーを楓の手に握らせた。
すみれが小学生のとき、航から貰った宝物だ。
いつか自分の子供に渡して遊ばせてやれ、と航に言われた黄色いワーゲン。
楓はその黄色いワーゲンがお気に入りになったようで、いつでも持ち歩き、どこででもそれを走らせた。
ある日、楓がいつものようにその黄色いワーゲンのミニカーで遊んでいると、そばにいた航が楓に言った。
「楓。この黄色いワーゲンはな、昔パパがママにプレゼントしたんだぞ。大切にしろよ。」
その言葉に、すみれの時は一瞬止まった。
「航・・・君?いつから・・・?」
いつ、記憶が戻ったの?
航がすみれをみつめながら、穏やかに微笑んだ。
「すみれ。こんな自分勝手な男の嫁になってくれてありがとう。」
「航君・・・。」
「つまらないプライドが邪魔をして、ずっとお前に触れなかった。でも失って気付いた。すみれが俺の人生に現れてから、本当に救われていたのは俺の方だったってことを・・・。すみれ、これからも俺のそばにいて欲しい。」
「・・・うん。うん!」
すみれは泣きながら航の胸に抱きついた。
「おかえりなさい。航君。」
「ただいま。すみれ。」
「今度楓を連れて、お袋の・・・桔梗バアさんの墓参りに行こう。」
「うん。お祖母ちゃんもきっと喜んでくれている。」
そんなふたりを楓は不思議そうにみつめていた。
fin
すみれは27歳、航は42歳。
ふたりの結婚は法律上、なんの問題もなかった。
しばらくして、ふたりは可愛い男の子を授かった。
ふたりはその男の子に「楓」と名付けた。
「楓。ほら、ブーブーだよ!」
2歳の楓のマイブームはおもちゃのミニカーを、自分の手で走らせて遊ぶことだった。
航は自分のコレクションであるミニカーを、惜しみなく楓に手渡し遊ばせた。
すみれは子供の頃から大切にしまっておいた、黄色いワーゲンのミニカーを楓の手に握らせた。
すみれが小学生のとき、航から貰った宝物だ。
いつか自分の子供に渡して遊ばせてやれ、と航に言われた黄色いワーゲン。
楓はその黄色いワーゲンがお気に入りになったようで、いつでも持ち歩き、どこででもそれを走らせた。
ある日、楓がいつものようにその黄色いワーゲンのミニカーで遊んでいると、そばにいた航が楓に言った。
「楓。この黄色いワーゲンはな、昔パパがママにプレゼントしたんだぞ。大切にしろよ。」
その言葉に、すみれの時は一瞬止まった。
「航・・・君?いつから・・・?」
いつ、記憶が戻ったの?
航がすみれをみつめながら、穏やかに微笑んだ。
「すみれ。こんな自分勝手な男の嫁になってくれてありがとう。」
「航君・・・。」
「つまらないプライドが邪魔をして、ずっとお前に触れなかった。でも失って気付いた。すみれが俺の人生に現れてから、本当に救われていたのは俺の方だったってことを・・・。すみれ、これからも俺のそばにいて欲しい。」
「・・・うん。うん!」
すみれは泣きながら航の胸に抱きついた。
「おかえりなさい。航君。」
「ただいま。すみれ。」
「今度楓を連れて、お袋の・・・桔梗バアさんの墓参りに行こう。」
「うん。お祖母ちゃんもきっと喜んでくれている。」
そんなふたりを楓は不思議そうにみつめていた。
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