溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。
* * *
その夜、リユくんと電話をするために寮にあるラウンジへ行きました。
「ラウンジに来ましたよ」とメッセージを送ると、すぐに電話がかかってきて、深呼吸してから通話をタップします。
「もしもし?」
「り、リユくんですか……っ」
「俺がかけたんだから当たり前じゃない?」
電話越しに笑うリユくんの声にキュンとします。
「そうですよね」
「何してたの?」
「ご飯の後にお風呂に入って、今はマオちゃんが入っているのでその間に抜けてきました!」
「俺もそんな感じ。俺のルームメイト、小宵と電話してると怒るからさぁ」
「そうなのですか!?私何か不快にさせてしまってますか!?」
「違うよ。俺の惚気を聞いてられないんだって」
の、惚気……?
「それより小宵、週末デートしよ」
「で、デートですか!?」
「うん。どこに行きたい?」
「わ、私はどこでも……リユくんと一緒ならどこでも楽しいので……」
実は私たち、学校外でデートはしたことがないのです。
初めてのデート、どこへ行っても何をしても、リユくんと一緒なら楽しいですよね。
「……本当にかわいいなぁ」
「え?」
「じゃあ、俺がエスコートする。楽しみにしてて」
「はい!ありがとうございます!」
「じゃあ、そろそろルームメイトが出てきそうだから切るね」
「あ、はい。おやすみなさい」
「おやすみ」