溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。
リユくんとの初デート……!!
とっても楽しみです!!
ああでも、デートって何を着ていけばいいのでしょう?
デートに着ていけるようなかわいいお洋服、あったでしょうか……。
マオちゃんに相談ですね!
私はセンスがありませんから、一緒にかわいいコーディネートを考えていただきたいです。
ワクワクしながらラウンジを出ようとした時、誰かに声をかけられました。
「蜜月さん」
振り返ると、極月イリアさんがいらっしゃいました。近くで拝見したのは初めてですが、まるで宗教画に描かれる女神様のような方です。
思わずほうっと見惚れてしまいました。
「髪に何かついているわよ」
そう言って極月さんは私の髪から何かをピンッと引っ張りました。一瞬ちょっとした痛みを感じました。
「あ、ありがとうございますっ」
「いいえ」
極月さんは女神の笑みを浮かべ、颯爽と帰られていきました。何の香りかわかりませんが、とてもフローラルな良い香りが漂っています。
立ち居振る舞いから何もかもが美しいです。
あまりの美麗さに見惚れてしまいましたが、マオちゃんの言葉を思い出しました。
でも、私を妬んでいるならあんな風に優しく微笑みかけてくださいませんよね……?
きっとマオちゃんの考えすぎだったのでしょう。呑気で無知な私は本気でそう思っていました。
まさか、あんなことになるなんて思いもよらずに――。