溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。


「やっぱり小宵の血は極上だね。
芳醇な甘さで最高に美味しい」

「うう……」

「ねぇ、キスしたい」

「はう……っ!」

「ダメ?」


ダメじゃない、です。

その言葉が上手く言えず、ふるふると首を振るだけになってしまいます。


「……かわいい」

「ん……っ」


キスこそ、全く慣れません。

リユくんのキスはとっても甘いです。
ゆっくりと味わうみたいに唇を舐められて、何度も食べられてしまいます。


「小宵は唇もかわいくて美味しいね」

「うう……」


ちょん、と指先で唇を押し当てられ、私のキャパシティはとっくに限界を超えています。


「好きだよ、小宵」

「……っ」


きゅうっと胸が締め付けられるくらい嬉しいのに、私はまだその言葉を返したことはありません。

だって、リユくんが好きなのは、私の血だけでしょう?

私みたいな何の取り柄もない普通の人間、リユくんみたいな素敵なヴァンパイアと釣り合うわけがないんです。

私がリユくんの恋人になれたのは、たまたま血が美味しかったから。
私の血を気に入ったリユくんが、「専属契約」を申し出たことがきっかけ。

専属契約とは、そのヴァンパイアのパートナーとなり、彼にだけ血を捧げること。
ヴァンパイアも彼女の血しか飲まないことを誓う契約です。


「小宵、俺の彼女になって。俺と契りを結んでよ」


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