溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。
放課後、お部屋で待っていた私をマオちゃんが迎えに来てくれて、学園の中庭に向かいました。
寮は男女の行き来が禁止されているので、外で会わなければいけません。
中庭にはリユくんと、もう一人男の子が待っていました。
「あれ?ええっと……」
「皐月桃李です。リユのルームメイト」
「さ、皐月くん…!初めましてっ」
リユくんからお話は聞いたことがありますが、会うのは初めてです。
皐月くんは黒髪に、赤みがかった黒い瞳でメガネをかけています。
リユくんとはまた違ったタイプの美形さんですね。
リユくんがおとぎ話の中の王子様なら、皐月くんはその王子を守る騎士様といった感じでしょうか。
「ごめんね、小宵。桃李なら小宵を元に戻る方法を探す協力をしてくれると思って、勝手だけど連れて来たんだ」
「ふーーん、本当に幼児化してるな」
皐月くんはメガネの奥からジロジロと私を眺めています。
「小宵のことジロジロ見ないで!」
「見ないとわからないだろ。猫月さんだっけ?君は怒ると猫耳が出るの?」
「うるさいっ!」
ふしゃーっと威嚇するマオちゃん、尻尾も出てしまっています。
「てゆーか皐月だっけ?皐月は人間?」
「僕はダンピールだよ」