溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。


皐月くんはやれやれと溜息をついていました。


「皐月くん、ありがとうございました。
ご期待に添えずすみません」

「いや…それ君が謝ることなの?」

「皐月くんをガッカリさせてしまったようなので」

「まあ確かに拍子抜けしたけど……君って変わってるんだね」


私、そんなにおかしなことを言っているでしょうか……。


「桃李、小宵に興味持たないで」

「持ってないよ。むしろリユの執着ぶりの方が興味あるね」

「男どもうるさい。もう帰ろう、小宵」

「あ、はい……」


……何だか眠くなってきてしまいました。

頭脳は16歳ですけど、体はすっかり6歳のようで…疲れやすいみたいです。


「小宵、眠いの?」


こてんと寄りかかった私をマオちゃんが抱っこしてくれました。


「すみません、眠くなってしまって……」

「疲れたよね。よしよし」

「マオ、俺が連れてく」

「女子寮に入る気?この変態」

「ぐ……っ」

「小宵はマオがちゃあんと連れて行くから」


べーっと舌を出したマオちゃんは、既に半分寝ている私を抱っこして寮に戻って行きました。

マオちゃんの抱っこが心地よくて、私はいつの間にかすやすやと眠ってしまっていたようです。

ごめんなさい、リユくん。
明日は16歳の姿で会えますように――。


< 28 / 57 >

この作品をシェア

pagetop