溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。


奥手な私が断れるはずもなく、今に至ります。

リユくんは優しいです。
血を飲んだ痕は優しく舐めて、傷を塞いでくれます。

私を見つめる眼差しも、私に触れる手も唇も全てが優しいのです。

でも、私自身を好きなわけではない――。

リユくんに惹かれる度に苦しくなります。
恋人だけど、私はずっとリユくんに片想いをしています。


「……小宵、そんなに見つめられたらまた食べたくなっちゃうよ」

「ええ!?」

「なんて、冗談。そろそろ昼休み終わるし、教室戻ろうか」

「……。」

「どうしたの?」

「いえ、リユくんと同じクラスだったら、もっと一緒にいられたのになって……」


リユくんとは違うクラスなので、寂しいです。


「ひゃあ!?」


急に抱きしめられてしまいました……!
リユくんってばどうしたのでしょうか!?


「もう、かわいすぎ」

「ええ!?」

「帰したくなくなるじゃん……」

「あの、リユくん…っ!授業に遅れてしまいます……!」

「だね。残念だけど、行こっか」

「は、はいっ」


苦しくなる時もあるけど、リユくんがいるだけで幸せです。
これ以上を望むなんて、贅沢すぎますね。

だから、今はこのままでもいいので、リユくんの傍にいさせてくださいね――?


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