溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。
リユくんはものすごい形相で睨み付けて皐月くんから私を取り上げ、胸の中に収めてしまいました。
ふええ…!リユくんに抱きしめられています…!!
体が小さいせいですっぽり収まってしまって、リユくんの匂いが――うわあ、私変態ですね……!!
「僕は人間の子どもに何も感じないよ。
触らせたくないならリユが調べてよ。体のどこかに痣みたいなものがないか」
「痣?」
言われてリユくんは私をジロジロと見回しました。
「あ、これ?」
「ひええ」
リユくんが私の髪をたくし上げ、首の後ろを指さします。
「あ、それだ」
「何なの?この痣」
首の後ろなので私には見えませんが、皐月くんやマオちゃんにも見えるようですね。
「このバツ印みたいな痣、高度な抑制魔法がかけられてる証拠だと思う」
そう言って皐月くんは魔法の本のとあるページを見せてくれました。
「抑制魔法は別の魔法に上書きすることによって、効果を持続させるらしい。対象者の体の一部が必要ってあるけど」
「体の一部ですか?」
「一番簡単なのは髪の毛とかじゃない?」
髪の毛?
そういえば、極月さんにゴミを取ってもらった時にプツンと髪の毛を引っ張られたような――。
「で?その魔法はどうやったら解けるの?」