溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。
「基本的には術者本人が解かない限りは無理っぽい」
「えぇー!?」
「自分で解くなら……これ結構複雑だなぁ。えーと、蜜月さんの場合は」
「貸して、桃李」
リユくんは皐月くんから本を受け取り、真剣に読み込んだ後、ポツリと零しました。
「……キスをしない」
「えっ」
き、キスをしないとは??
「抑制魔法にはいくつか種類があるみたいなんだけど、このバツ印は一定期間唇にキスをしなければ魔法が解けるものらしい」
「一定期間ってどのくらいですか?」
「それはわからない…術者が決めるようだから」
ということは……しばらくの間血も飲めない、キスもできないということですか??
「イチャイチャNGってこと?いいんじゃない?
この機会に禁欲しなさいよ」
「いや、これって結構マズイかも」
皐月くんは険しい表情になりました。
「ヴァンプにとって口と口のキスは味見も含まれるからね。吸血できない場合は唾液をもらうのが普通なんだけど、それもできないとなるとヤバいかも」
「マジで!?」
「しかもリユは蜜月さんと専属契約をしてるから、他の人の血は飲めないし」
「キスは?」
「あーー…キスはできるのか」
「しないよ」
リユくんは、真顔ではっきりと言い切りました。
「小宵以外の奴とキスなんかしない」