溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。
――え……?
「え、そうなの?」
「貧血なのかな?今保健室で寝てるみたい」
「そうなんだ。不謹慎だけど、リユくんの寝顔見てみたいな〜」
「わかる〜お見舞いって言って覗いちゃう?」
後ろに座っている女子二人の会話を聞いてしまいました。
リユくんが、倒れた……?
そんな、やっぱりリユくん……!!
「こよ、じゃない、ヨイちゃん!?」
居ても立っても居られず、私は教室から飛び出しました。
この幼い足取りでは上手く走れませんし、すぐに疲れてしまいます。
それでも懸命に足を動かし、必死に保健室を目指しました。
「リユくん……っ!!」
先生はいませんでした。
キョロキョロしながら、カーテンのかかっているベッドを恐る恐る覗いてみて、ギクッとしました。
思わずカーテンを閉じ、隙間からもう一度覗いてみました。
「あれは……極月さん……?」
後ろ姿ですが、漆黒の艶やかなロングヘアは恐らく極月さんです。
どうして極月さんがここに――?
「……リユくん、私を食べて」
極月さんは前屈みになって、リユくんに――キスをしている……?
カーテンの隙間からなので、はっきりとはわかりません。
でもこのシルエットは、きっとそうですよね……?