溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。
「マオ」
「え?何?」
高校に入ってクラスが別れ、接する機会がなかったのに話しかけられて、マオは怪訝そうにしていた。
「マオがよく一緒にいる子誰?」
「えー?小宵のこと?」
「そう、その子」
「マオのルームメイトで親友だけど…」
「その子、紹介してよ」
「なんで?」
マオは明らかに嫌そうにした。
「マオにも仲良くする子がいるんだと思って」
「どういう意味?絶対嫌なんだけど。
小宵はリユみたいなのが接していい子じゃないの」
は?どういう意味だよ。
「絶対ダメだから。小宵に近づかないでよね!」
そう言ってあかんべをして行ってしまった。
なんだよ……そういうところが友達できないところだぞ。
マオからの紹介は無理だとわかったので、多少強引でも接点を持つことにした。
自分がここまで必死になるとは思っていなかった。
小宵は毎日放課後に花壇の水やりをしているので、会うのは案外簡単だった。
その日は朝から誰の血も飲まず、敢えてフラフラの状態で小宵の前に現れた。
俺に気づいた小宵は、驚いて俺に駆け寄る。
「大丈夫ですか?具合が悪いのですか?」
「……朝から血を飲めてなくて」
「血?ああ、ヴァンパイアさんですか?」
「そう」
「それは大変です!」