溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。
――ここは、私立綾樫学園高等部。
世にも珍しい人間と人間以外の種族が共存する、全寮制の高校です。
この世界にはヴァンパイアをはじめとする人間以外の種族も、たくさん存在しています。
種族に関係なく、誰もが平等に協力し合う世界を作ろうという理念から、創設されたのが綾樫学園だそうです。
「あっ!小宵!おかえり」
「ただいまです、マオちゃん」
この子は私の幼馴染でルームメイトでもある、猫月マオちゃん。
一見すると、金色の猫目が特徴的なかわいい女の子ですが、実は化け猫さんだったりします。
「……小宵、めちゃくちゃリユの匂いがする」
「ええっ!?」
「あの男…っ、マオの小宵にベタベタしてーー!!」
「マオちゃん!お耳と尻尾が出てます!」
マオちゃんは興奮すると、お耳が猫耳に代わり、尻尾が出てきてしまいます。
そこがとてもかわいいです。
マオちゃんは私の家の近所に住んでいたことから、幼稚園児の頃から一緒に遊んでいました。
この高校を選んだのも、マオちゃんと同じ高校に行きたかったからです。
「小宵はマオのだったのに……!!
やっと高校では同じ学校に通えると思ったのに、リユに取られたーー!!」
「そ、そんなことないですよっ」