溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。


――ここは、私立綾樫(あやかし)学園高等部。

世にも珍しい人間と人間以外の種族が共存する、全寮制の高校です。
この世界にはヴァンパイアをはじめとする人間以外の種族も、たくさん存在しています。

種族に関係なく、誰もが平等に協力し合う世界を作ろうという理念から、創設されたのが綾樫学園だそうです。


「あっ!小宵!おかえり」

「ただいまです、マオちゃん」


この子は私の幼馴染でルームメイトでもある、猫月(ねこづき)マオちゃん。
一見すると、金色の猫目が特徴的なかわいい女の子ですが、実は化け猫さんだったりします。


「……小宵、めちゃくちゃリユの匂いがする」

「ええっ!?」

「あの男…っ、マオの小宵にベタベタしてーー!!」

「マオちゃん!お耳と尻尾が出てます!」


マオちゃんは興奮すると、お耳が猫耳に代わり、尻尾が出てきてしまいます。
そこがとてもかわいいです。

マオちゃんは私の家の近所に住んでいたことから、幼稚園児の頃から一緒に遊んでいました。
この高校を選んだのも、マオちゃんと同じ高校に行きたかったからです。


「小宵はマオのだったのに……!!
やっと高校では同じ学校に通えると思ったのに、リユに取られたーー!!」

「そ、そんなことないですよっ」


< 5 / 57 >

この作品をシェア

pagetop