溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。
だけど、どんなに愛を囁いても小宵は恥ずかしそうに俯くばかりで、その言葉に返してくれたことはない。
優しい小宵は俺の告白が断れなくて、押し負けて付き合ってくれたところがあるから仕方ないけれど。
ごめん、でも離すつもりなんかないんだ。
小宵じゃないとダメだから。
小宵さえいてくれたら、他に何もいらない。
* * *
ある日突然、かわいい彼女がかわいい子どもの姿になった。
子どもの頃から小宵は愛らしかったみたいだ。
でも子どもの血は吸えないから、しばらくはお預けになった。
更に魔法によってキスもできない。
小宵は自分のことよりも、俺の体ばかり心配していた。
そういう優しい小宵のことが好きだ。
小宵に心配かけたくなくて、トマトジュースで体を騙していたけどだいぶ限界まできていた。
それでも小宵以外の血なんか、今更いらない。
唾液なんて論外だ。
この体が朽ち果てるとしても、俺が愛しているのは小宵だけだから。
「……はあ…っ、小宵…っ!」
ヴァンプとしての本能に抗ってでも、俺はこの愛を貫きたい。
そして、小宵にちゃんと伝えたい。
俺がどんなに小宵に溺れているか。血だけじゃない、小宵自身に心底溺れているんだよって。
ちゃんと伝えさせて欲しいのに、もう体が上手く動かせなかった――。