御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「そうか。好きな男もいないのか?目の前にいい男がいるだろ?」

 嬉しそうに笑ってる。え?嘘だよね。

 「じゃあ、食事のあとで話がある」

 「えー?食事の後?ここでお預けですか?」

 私が口をとがらして言うと、ふふんと笑っている。

 「食事が食べられなくなると可哀想だからな。とにかく食べよう。おまかせは旨いぞ」

 その通りだった。見たことないような素敵な盛り付け。それでいて食べたことのない味。そうか、これが本当のイタリアンだったのか。私のよく行く店はイタリアンもどきだったんだとわかった。

 そして、最初の本部長の話があったせいで、調子に乗って二杯もシャンパンを飲んでしまった。もちろん美味しかったからなのだが、結構アルコール度数が高いと後でわかった。酔っ払ってしまったからだ。
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