御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
社長賞
社長賞の表彰の日。
社内メールで事前に発表があり、まずフロアで挨拶をした。
表彰式は午後からだったのだが、それまで廊下などですれ違う同期や知り合いにひとしきりからかわれたり、お祝いを言われたり。
清水さんに廊下ですれ違った。
「あら、噂の水川さん。おめでとう、すごいわね、社長賞とは」
私は目を合わせることができなかった。
「社長賞はいいとして、ねえ、この間本部長とふたりで夜出かけていったでしょ?見たのよ、また頭撫でられたりして……」
冗談めかして言う台詞の割には目が怖い。気持ちはわかります。謝るわけにもいかず、定番の理由を言う。
「……吉崎先輩が産休に入られて、本部長の案件をすべて私がやっているので、最近は一緒にいることがどうしても多いんです」
「ふーん。そうね、確かに前の吉崎さんの時も可愛がってたものね。いいわねえ。代わりたいわ。異動願いだそうかしら。本部長に直接お願いしてみようかな」