御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 鼻をすすっていたら、本部長が後ろを振り向き私の腕を取って、書類で顔を隠すようにし、自分の部屋へ私を入れた。
 すぐに、ブラインドを下げてフロアから見えないようにしてくれた。

 ティッシュ箱を私にくれた。涙を拭いて鼻をかんだ。
 本部長は私をじっと見て、近寄って来て両手で優しく抱きしめた。彼の香水に包まれた。また余計に涙が出た。

 「泣くやつがあるか。堂々としていろ。お前は俺の専属だ。誰にも文句は言わせない。何かあればすぐに俺に言うんだ、いいな」

 背中をさすってくれる。ぐちゃぐちゃの顔を見せたくない。

 「いいか。こんなことくらいで気にしてたら、お前をプライベートも俺のものにしたらどうなる。しっかりしてくれ」

 「……!」

 「この間のはなしの返事はどうした?理解したか?」

 机に背中をつけて、私をのぞき込むように見ている。
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