御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「どうしたんですか?」

 「急にそういうこと言うなよ。びっくりするだろ」

 口元を抑えている。え?もしかしてまた照れたりしてる?

 「本部長、格好いいなんて言われ慣れてるくせに……」

 小さい声で言うと、そうだなと言う。ほらやっぱり。

 「……だが、お前に言われるのは嬉しいな。そういうお前も今日はいい女だ。俺とお似合いだから胸張って歩けよ」

 びっくりして、本部長を凝視してしまった。

 「何だよ?そんなに見惚れるほど格好いいか?」

 「……まあ、そうですね。私まで褒めるなんて、明日は雨ですね、きっと」
 
 社長室へ入った。緊張する。重役方が並んでいる。

 本社のほうの社長賞は、四年目の営業職員の男性。子会社のほうが私ということだった。
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