御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「おい、水川。お前は何か意見はないのか?」

 本部長がこちらを見て言う。

 「……特にありません。皆さんの意見が完璧で私は勉強になりました」

 すると、三人は私を見て吹き出して笑っている。本部長は呆れたようにこちらを見てる。

 「水川。お前、勉強に来てるんじゃなくて戦力としてきてるんだ。意見くらい出せ」

 本部長に言われる。だって。別に。ないんだもん。私が黙っていたら、清水さんが答えた。

 「本部長。意見がありすぎてもまとまらないし、水川さんみたいにいってくれる人がいれば、間違ってるときには指摘してくれるでしょうし、安心です」

 あー、清水先輩。なんて優しいんだろう。

 「まあ、そういう考え方もあるか。水川は吉崎が推薦してきたんだからな」
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