御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「……うん。私、あとでよく考えろとか言われちゃってさ。お子様なの分かってるんだと思う」

 「うらやましいな。大人の男の人って感じ。私だったらイチコロだよ。まだ、それで何も返事してないの?」

 小さくうなずいた。赤くなっているのが分かる。恥ずかしい。

 「そうか。でも、返事するって今決めたんでしょ?」

 私は顔を上げてうなずいた。

 「返事する。きちんと。本部長の望むような相手が出来るか分からないけど、気持ちはあるから伝えてみる」

 佐知はぷっと吹き出して笑っている。

 「香那、可愛い。好きなら大丈夫でしょ?何しろ育ててくれるっていうんだからさ」

 こちらを見ながらニヤニヤしてる。もう、いやだ。

 私達はお互いの恋の健闘を祈りつつ、その日は別れた。
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