御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「水川。俺……後悔したくないから言う。お前のこと好きだ」

 びっくりした。

 周りはざわざわしているから、不思議とその言葉が浮いて聞こえた。
 真剣にこちらを見ている。気持ちは伝わった。佐知の言ったことは本当だったんだ。でも私……。

 「博士……ありがとう。気持ちは嬉しい。でも、ごめんなさい。博士は私にとって最高の同期の男友達。色々甘えてごめんなさい。誤解させたんだね」

 彼はふっと息を吐いて、またビールを飲んだ。

 「……本部長が好きなのか?」

 私はびっくりして、箸を落としてしまった。

 「それは……」

 橋本君はそんな私を見て、ふっと笑った。
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