御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「結局両思いってことか。牽制される意味がないよな。訳分からん」

 「え?」

 「本部長がお前を庇ったという話が噂になってるの知ってるだろ?」

 「……うん」

 「昨日飲んだときに、俺の気持ちも言い当てられてさ。お前にそれとなく本部長の気持ちは伝えてあるが、返事はもらってないと本部長が言っていた。俺の気持ちを考えると正々堂々と一度話しておきたかったと言われてさ。格好いいよな、相変わらず」

 「それって本当なの?本部長が私のこと……」

 「何だよ、気付いてないのか?それとなくって何言ったんだ?間違いなくお前のこと好きらしいぞ。ってどうして俺が言わなきゃならないんだよ」

 「何か、それらしいことは確かに言われた。私少し酔ってて冗談かと思ったんだけど、違ったんだね。怖かった本部長が実は優しくて面白くて……女子社員にファンクラブがあるくらい素敵な男性だけど、自分となんて考えたこともなかった。それなのに、特別だというふうに大切にされてどんどん……惹かれて……ごめんね……こんなこと博士に言うべきじゃなかった」
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