御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「だって、最初私が言ったときだってびっくりしてたじゃない。当然の反応だよ。私がどういうのか知っているんだから」

 「お前がそのままポンコツだったら良かったのに……」

 「ええ?」

 「そしたら、本部長に目をつけられることなく、俺がずっとサポートしてやってたら付き合ってたかも」

 橋本君。胸がきゅっとなる。嬉しい言葉。でもごめんなさい。黙った私を見て、ウインクする。

 「残念ながらポンコツは卵からふ化しちまった。ひよこは鷹に狙われて、さらわれちまうんだ」

 「……博士」

 「素直になれよ。でもまだ俺と一緒に仕事が出来るんだからチャンスはあるかもな」
 
 私は胸がいっぱいになって、下を向いてしまった。涙が出る。

 「おい、泣くなよ。泣かせてるみたいだろ。泣きたいのは俺だぞ」
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