御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

　そっぽを向いた私の様子に驚いた本部長は、息をのんでいる。

　「……お前。俺がプライベートも育ててやるって言っただろ。好きな女がいると教えたよな。どう考えてもそれが告白だろ。意味わからないとかどこまで馬鹿なんだ」

　「どうせ馬鹿ですよ。馬鹿のことは嫌いなくせに……混乱させないで下さい」

　ため息をついた本部長は私のアイスコーヒーを持つ手をつかんで、引っ張った。

　「いいか、一度しか言わないからよく聞けよ……お前が好きだ。俺と付き合ってくれ」

　私が何も言わないのを見て、しびれをきらしたように言う。

　「おい、返事は？」

　「今頃好きとか言うし……橋本君へ話すんじゃなくて、私へ最初に言って欲しかったです……それに返事なんてどうせわかってるくせに」

　「つまり、橋本じゃなくて俺を選んだんだな？」