御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 驚いて見るとニヤリと笑った。ああ、こんなんで私大丈夫だろうか……。

 通常業務に戻るとやはり鬼だった。今日も叱られた。通常運転。昼は夢に違いないと帰った。
 
 ところが、夜になって本部長が電話をくれた。

 「どうしたんですか?本部長」

 「どうしたんですかって、お前、今日から俺の女だぞ。電話ぐらいする。それと本部長って呼ぶのは仕事だけにしろ。ふたりの時はやめてくれ。俺の名前を知っているか?」

 「椎名……英嗣さん」

 「そうだ。名前で呼んで欲しい」

 「ひ、ひでつぐ、さん……無理です!」

 「なんだ、またその台詞か。お前はそれしか言えないのか?」

 「……ごめんなさい」
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