御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「いつも同じよ。結局、何でも終業間際に持って来るの。駆け込み寺ってところね」

 「それはわかる。出す方はギリギリまで考えてあげるからな」

 「大して何も変わらないのに、決心がつかないのね」

 「母さんが怖いんじゃないか?だから、みんな出し渋るんだろ?」

 「失礼ねえ。私の働いている姿見たことないくせに……」

 ふたりがポンポンと話しているのを横目で見ていたら、こちらを見てお母様が微笑んだ。

 「ごめんなさいね、さあ食事しましょう。会いたかったわ、水川さん」

 美味しい食事を食べながら、お酒を親子ふたりは飲んでいる。私はお酒に弱いので最初だけ。今はウーロン茶。

 「水川さん。社長賞おめでとう。あのパンフの商品は絶対売れると思ってたの」

 「……あ、本部長からもお母様が予言されたとお聞きしてます」
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