御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「ほらね。絶対、水川さんならわかってくれると思った。あなたのあの文章を実現させるのよ。空間を売るのは私。そこに入れる器具を売るのはそっち。文章やアイデアを練るのは水川さん。どうかしら?」

 「やりたいです!やらせて下さい!」

 立ち上がって手を上げていたら、隣の彼に反対の手を引かれて無理矢理座らされた。

 「……おい。誰がやっていいと言った?」

 「なあに、英嗣。まさか反対とか言わないでしょうね?」

 「アイデアはいい。だが、どうして水川を使うんだ。こいつは今、俺の秘書だぞ」

 「英嗣馬鹿なの?水川さんは社長賞を取るほどの逸材なのよ。あんたの秘書ごときで終わらせるつもり?秘書なんて他の子にさせなさいよ」

 「……あのなあ」

 「本部長。お願いします。私、もう少ししてから言おうと思ってたんですけど、言わせて頂きます。秘書は私に向いてません。今お母様が言って下さったような仕事がしたいです。お願いします」
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