御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
 
 あげく、周りに気を遣い、俺も特別扱いはしてやれない。

 彼女がだんだん俺の異動が近づくにつれ、口数が少なくなってきていたので、本社へ行くのが嫌なのだろうとわかってはいた。

 営業三部を統括しているので、そちらに椎名不動産との仕事をさせることにした。

 四人を異動させる。香那もだ。

 「水川、決まったぞ。来週から営業三部所属だ」

 「ほんとですか?私の引き継ぎは?まさか、小出さんじゃないですよね?」

 「さあな。お前には関係ないだろ。何しろ俺様を捨ててあちらへ行きたいと言ってんだからな」

 香那は黙って俺を見てる。大きな目に水が溜まってる。
 ん?まさか、泣くのか‼︎

 「泣くなよ、すまん、いじめすぎたな……」
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