御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 私は泣きはらした目で彼を見つめた。すると彼が優しい目で私を見た。

 「香那のお陰で気付いた。そうだよな、何をこんなに一生懸命仕事しているんだろうな。熱出してまで……って、お前、俺がいつも熱出すって誰に聞いた?」

 「……昨日、マンションへ心配で差し入れ持って行ったんです」

 「は?いつ来たんだ?知らなかったぞ」

 「あの家政婦さんが言わなかったんでしょ?私行ったとき本部長寝ていたみたいだし……その時言われたの。よく熱出すって……」

 「……余計なことを」

 私はムキになって言った。

 「どうして余計なの?私って彼女なんですよね?あの人が知っていて、私が知ったら余計なの?」

 彼はビクッとして私を抱き寄せた。
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