御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「はいはい。ではお手伝い致しますよ。早くやりましょう。ウサギの早さで片付けますよ!」

 本部長は驚いた顔をして私を見つめた。

 「……お前、何様だよ。最近までネコだったくせして」

 「いいですか、は・や・く!」

 ふたりで読み合わせしながら、二時間で片付けなければならない。
 午後から、彼は本社で会議だ。

 「椎名取締役。午後から会議ですから、お昼ご飯の時間を考えると一時間半ですよ」

 「ああ。お前、最近秘書っぽくなってきたな」

 そうでしょ、頑張ってるもん。自分で言うのもなんだけど。今更ながら、秘書課長様から教えを受けてあと数ヶ月しかない彼の秘書を頑張ってる。大好きな彼のためだと思って。私、結構けなげなんだから……。
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