御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
「ダメだ。とにかくここを先に内覧するんだ。今日の二時に予約してあるから、担当者が鍵を持って来る」
「えー!勝手にどうして……」
後ろから抱きしめられた。
「どうしてだと?理由が必要なのか?おい……」
彼の香水に抱きしめられて、クラクラする。首元にチリッと痛みが走った。彼が首筋を吸い上げた。
「もう……わかりました。頼んであるなら見ますよ。でも、この部屋を見た後で他の階を見てもどうせ目が肥えてしまってきっと……」
「いいんだよ、どんな部屋でも。お前を下の階にはほとんど帰さないつもりだから……実質住所だけそこにあればいいんだ。ここへ住むことになるんだよ」
私は、振り返って彼を見た。にたりと笑っている。部屋を別にするっていうからきちんとするのかと思いきや、そういうこと?それはまずくない?会社にだってばれるかもしれないし……。