御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
久しぶりに聞いた私の名前を呼ぶ声。学生時代の彼氏、柿崎史人。卒業まで二年間付き合っていた同級生。
「うん。久しぶりだね。びっくりした。史人、確か椎名不動産じゃなかったよね、就職先……」
「ああ。転職したんだ。久しぶりだ、香那も元気そうだね、良かった」
私はじっと英嗣さんが見つめているのに気付いて、説明した。
「学生時代ので同級生です。卒業して以来会ってなかったからびっくりして……」
「そうか」
「椎名さんは別な部屋にお住まいと聞いてますので、ということは彼女の部屋を探しておられるんですよね?」
彼が言う。
「……ああそうだ。とりあえず、内覧させてくれ」
「はい。では行きましょう」