御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 三人でエレベーターに乗り、五階へ降りた。
 ああ、ここは普通のマンションの造り。あの、十階だけしか降りたことないとこのマンションがよくわからない。妙にほっとした。

 「東側の角部屋になりますね。五〇一号室です」

 そう言って、鍵を開けてくれた。

 思ったより広い。空調を入れてくれた。眺めは、英嗣さんの部屋に敵うはずもないけど、とりあえずキッチンの造りやバストイレなどをチェック。部屋は思ったよりも使いやすそう。

 「東側なので朝日が入ります。西日はないので僕はいいと思いますけど。特に仕事しているんでしたら、家にいるのは朝と夜がほとんどなので、朝日が入るのはいいですよね」

 「そうですね」

 収納などもどのくらいあるかチェックする。

 英嗣さんが奥の部屋へ行ったのを見計らい、彼が私の腕を引っ張った。
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