御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
「どうせ、お前の同期ふたりにはばれてるだろ。田村や父も察しているし、子会社の連中はみな疑ってる。お前を庇ったりしたからな」
「……すみません」
「まあ、いい。本社へ俺が異動して離れたらそのうち何も言われなくなる。お前の異動先で会うとしても相変わらずお前はのろのろだし、叱っているうちに噂も消えるだろ」
「……ひどい。私も英嗣さんには冷たくします」
ちろりとこちらを見る。
「……いいだろう。プライベートで存分に仕返ししてやる。飴と鞭、両方使っての生活になりそうだ。覚悟しとけよ」
色気満載で言い放つ。私はもう今日以降、きっと彼の虜になる。会社で彼をそういう目で見ないようにするのは至難の業になりそう。考えただけで憂鬱だった。