御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「今日は椎名不動産との最初の打ち合わせだ。あちらの社長自らの提案だそうだが、一応こちらから椎名不動産へ行く」

 そう言って、本部長と私達四人で椎名不動産の本社へと出かけた。

 大きな会議室に通されて、対面で座った。
 あちらは、社長と営業部長。そして、その担当課長は女性だった。あとは担当のふたりの男性。そのうちのひとりが史人だったのだ。そのうち会えるというのはこういう意味だったのか。

 お母様である社長は私を見てにっこり笑ってくれた。私も会釈する。

 木村さんが驚いて見てる。
 
 「水川さん、社長さんと知り合い?」

 木村さんは本部長のお母さんだと知らないんだろう。というか、誰も知らないと思う。
 
 「あ?ええ、本部長の秘書をしていたので、お目にかかったことがあります」
 
 「そうなんだ。綺麗な人だね」
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