御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 そう言って、女性課長が段取りなどを説明しだした。史人は建築士の免許も持っているので、そういった面でメンバーに選ばれたと説明があった。

 史人は私の紹介のときにこちらをチラッと見て笑顔を見せると、すぐに知らぬフリをした。
 本部長は私のことをじっと見ている。きっと、史人のことでイライラしているのだとすぐにわかった。

 お母様は結局本部長と親子であることを話さなかった。だが、史人は知っている。あちらの担当の人はどうなんだろう。
 うちのほうは黙っておくべきなのかな?本部長が黙っている限り話さないでおこうと思った。
 おそらく、うちでばらされると色々面倒なことが多いに違いない。

 次回までにそれぞれ使いたいものを考えて案をまとめ、担当者同士で話し合うということになった。
 今日はそれで解散だった。

 史人からメールが来た。

 「再会を祝して近いうちに食事でもどう?」

 断ったら仕事にも支障が出そうだ。とりあえず、昔話をするくらいならいいだろう。どうして転職したのか聞いてみたい気もした。
< 210 / 283 >

この作品をシェア

pagetop