御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
そう言って、女性課長が段取りなどを説明しだした。史人は建築士の免許も持っているので、そういった面でメンバーに選ばれたと説明があった。
史人は私の紹介のときにこちらをチラッと見て笑顔を見せると、すぐに知らぬフリをした。
本部長は私のことをじっと見ている。きっと、史人のことでイライラしているのだとすぐにわかった。
お母様は結局本部長と親子であることを話さなかった。だが、史人は知っている。あちらの担当の人はどうなんだろう。
うちのほうは黙っておくべきなのかな?本部長が黙っている限り話さないでおこうと思った。
おそらく、うちでばらされると色々面倒なことが多いに違いない。
次回までにそれぞれ使いたいものを考えて案をまとめ、担当者同士で話し合うということになった。
今日はそれで解散だった。
史人からメールが来た。
「再会を祝して近いうちに食事でもどう?」
断ったら仕事にも支障が出そうだ。とりあえず、昔話をするくらいならいいだろう。どうして転職したのか聞いてみたい気もした。