御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 私はミックスナッツを持ち上げて、ため息をついた。

 「そうね。まぐれでしょ」

 「まぐれじゃないだろ?それが今回の提携のベースにある。お前、やっぱりデザインする方向へきちんと進んでるんだな」

 「……そうかな?」

 「ただ、驚いた。御曹司の彼女になってるとはな……」

 私は驚いて彼の顔を見た。まあ、ばれるよね。あの様子だったら。家賃のことも、彼が付いてきたことも全て。

 「……誰にも言わないで」

 「変わったな、香那。昔だったらもっとおどおどしていたし、昨日の会議の場の発言ひとつでも……。社長賞は嘘じゃなかったんだとわかったよ」

 なにその言い方。相変わらずだわ。
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