御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「もちろん、五階に住んでますよ」

 「へえー?」 信じてないな。

 「史人は今どこに住んでるの?」

 「二駅先のマンション」

 「椎名不動産のマンションなの?」

 「そんな訳あるか。違うよ」

 「ふーん。卒業後はずっとそこに?」

 「そうだな。興味があるなら招待するよ、今度」

 いたずらな目がこちらを見ている。

 「結構です」

 そう言って、正面を見ると見慣れた背中が通りの向こうに見えた。
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