御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
side 椎名 Ⅲ
本社へ戻ったが、専務の力が強くてどうにもできない。
今は人事の役員が専務なので、俺の力を弱めるために色々策略を考えているのがわかった。
まず、異母弟の所属する部署の課長が以前大阪で付き合っていた女性だった。
彼女とは東京へ戻るタイミングで別れたのだが、その後俺への当てつけか職種転換して職域のない総合職になった。
大阪で女性初の課長になったのはいいが、色々あってこちらに飛ばされてきた。
この会社は東京本社なので、東京へ来るのは栄転だと思っている人も多いが、彼女を戻したのは俺を困らせるためだとすぐにわかった。
彼女の部署に異母弟を入れ、しかもその上司を俺にしたのだ。
接点を作って、俺を動揺させるためだろう。
父は俺が彼女と付き合っていたことは知らないが、会社内では少なからず大阪に当時いた人間や、関わりのあった人は知っている。
今日はその部署の取引先と接待だったのだが、彼女ももちろん同席した。
接待相手の男性にかなり飲まされて、俺が間に入ったときにはすでにかなり酔っていた。