御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「これ、結構いいな。俺も兄弟姉妹がいなかったから、母親と兄妹ふたり、三人で並んで料理出来たら楽しいだろうな。目の前で父親がそれを見ているっていうのもすごくいい」

 「本当ですか?本部長もこういう家庭いいなとか思います?」

 「ああ。アイランドキッチンで並んで料理している妻と子供達を父親になった俺が目の前で見たりするのはいいな」

 嬉しい。本部長が私の夢を真剣に聞いて理解してくれた。このパンフレットで話している内容は私のリアルな夢。

 「何、ニタニタしてるんだよ、でも、ここの字違ってるぞ」

 本部長に険しい顔で指摘されて見てみると、漢字の変換間違いをしていた。

 「あ、すみません」

 マウスのカーソルを動かして直そうとしたら、本部長が私の手を押さえて、自分でキーボードを使って打ち直してしまった。
 私は本部長の手が触れてびっくりしてしまった。
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