御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 「英嗣さんがあの人とタクシーに乗るのを一緒に見てたら、心配されちゃった。大丈夫かって……」

 辛そうに話す。そうか、駅の近くだったから偶然あいつと一緒に見ていたのか?最悪だな……。

 香那の両腕を取って、正面から話した。

 「心配かけてすまない。本当に何もない。安心しろ」

 目を見ていると攻撃的な色がようやく落ち着いてきた。

 「……ほんとうに?」

 抱き寄せてやる。

 「お前こそ、大丈夫だろうな?俺はそれが心配でここまで来たんだぞ。あっちにいないから驚いたんだ。今日は戻ったら俺の方へ来いって言ってあっただろ」

 「……行くわけない。あんなの見て行くわけないでしょ」
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