御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 まあ、確かにそうか……。

 「英嗣さん、たばこ臭い。お風呂入ってきたら?」

 「お前のうちで入っていいのか?」

 「着替えがないですから、家に帰って下さい。もう、遅いし、私も寝たい……」

 あくびをしている。こういうところ、色気がないというか、こいつの特徴なんだよな。良くも悪くも付き合う前から自然体。

 頭にきたから噛みつくようにキスをして、膝が落ちたところで解放してやった。涙目でこちらを見ている。

 「これからはこっちにも服を置いておくことにする。今日は解放してやる。おやすみ」

 そう言って、部屋へ戻った。いい匂いの彼女を置いて帰るなんて、俺もどれだけ彼女の言うことを聞くんだか……。俺の想いを彼女に少しはわかってほしいものだと思った。
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