御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
彼は子供が苦手というか、嫌いだと公言していた。外で一緒にいても、店で少しはしゃいでいる子供を迷惑だと言ってみたり、睨み付けたり……確かに冷たいなと思ってはいた。
ある日、キッチンの話になってさっきの夢を話したとき、彼は自分の子供も持ちたいかどうかさえ、まだわからないからお前の夢は結婚しても実現できるかわかんないなって真顔で返された。
そう、それが彼の答え。
私は小さい頃から絵を描いたり、おままごとしたりが大好きで、専業主婦だった母にくっついて料理も覚えた。
兄弟がいなかったのもあって、母親と自分が並んで料理が出来るくらいの本当は大きな台所がいいなあと思っていた。
実家は狭くてガス台にはひとりしか入れなかった。
私は子供も出来れば最低ふたりは欲しいとか結構自分の夢がはっきりしている。
私と子供ふたりが大中小のフライパンを持って並んで料理する。それを旦那さんが嬉しそうに目の前で見ている。
そんな家庭が欲しい。
史人には結局フラれたけど、実際私の気持ちも彼のあの返事がきっかけで離れてしまい、ギクシャクし出した。