御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
「だから、お手伝いさんの子。椎名家で仕えていたお手伝いさんが最初英嗣のところへ行っていたんだけど、歳でね、その娘が代わりに最近行ってたのよ。まあ、使用人の子供だったから、英嗣にとっては妹みたいなものだけどね」
「……そうだったんですね」
「辞めさせたって聞いてね、笑っちゃった。お手伝いさんはもういらないって言っていたのに彼女が無理矢理入ったの」
「……」
「嫌な思いさせたならごめんね。英嗣から少し聞いたの。辞めさせたって言うから、一応ね。私もあの子の親にはお世話になっていたので。でもよかったわ、あの子も諦めるでしょ」
私はどう答えたらいいのかわからず立ち尽くした。すると優しい笑顔で話しかけてくれた。
「英嗣と弟の店にも行ったでしょ?あの子、あなたのこと見せびらかして隠すつもりもないのね、きっと。英嗣のことどうかよろしくね。何か頭にくることがあれば私に言ってくれたら叱りますから……」
「社長……」
綺麗なウインクをして社長は出て行った。