御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
「母さん。柿崎のことは、許すまで少しかかるからな。覚悟してくれ」
「へえ?こんなに提携がうまくいったのは柿崎君の力もかなりあるわよ。わかっているくせに……」
父は俺を見て笑っている。俺は深呼吸をして二人に向き合った。
「父さん、母さん。俺はどちらの会社でもふたりの力になれるように努力するよ。いつでも頼ってくれ」
二人は驚いて俺を見ると、破顔した。
「由奈。別れたときにこうなるとは思わなかったが、もう許してくれるか?」
「そうね。別れたから椎名不動産は私のものになっているのよ。あのままだったら、絶対に継げなかった。ふたつの道がこの子のお陰でひとつになるかもしれない。別れたけど、それなら諦められる」