御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
 
 時は流れ……翌年の春。
 
 父の努力の結果、ようやく両社の資本提携が本決まりとなった。
 義弟は大阪へ転勤予定だ。義弟の内示は直属上司の俺だ。ただ、特別に今回は父と社長室で一緒に話した。
 
 俺は春から椎名不動産の社外取締役も兼任となる予定だ。そのことも父が義弟に話し、いずれふたつの会社がひとつになる可能性もあることを父から話した。

 「よかったね、義兄さん。父さん、俺が母さんと伯父さんに俺の気持ちを出発前に伝えますが、まああのふたりのことです、言うことをきいてくれないかもしれない。でもあの二人は俺にこの会社を継がせるために今まで動いているんでしょ?継ぐことを決めるのは俺。俺がやらないと言えばどうにもならないんですよ」

 「お前も大人になったな。あちらの作戦で英嗣の下につけたことが裏目に出たんだろう。お前は義兄の実力を知ったんだな」

 「はい。社内での義兄さんの圧倒的な人気もね」

 ウインクしてこちらを見た。

 社長室を出た義弟は俺に言った。
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