御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
そのスーパー格好いい先輩が指導してくれている。ああ、幸せと思っていたら、とんでもないことになった。先輩が妊娠してしまったのだ。つまり、もうすぐ産休でいなくなってしまう。
そう、先輩は既婚者だったのだ。本社のほうに旦那さんがいる。田村さんというこれまた有名な営業マン。すごい記録を達成しているらしい。やっぱりすごい人にはすごいお相手なんだなと思う今日この頃。
黄昏れていたら、後ろから声をかけられた。
「おい、大丈夫か?」
「ううん。大丈夫じゃないよ」
同期の橋本君。彼は商品開発を希望してこっちへ入社してきた。なんか、鉄だかアルミだかそういうのを勉強してたとかで、鍋とかフライパンとかの素材に詳しい。博士みたいな人。
「博士はいいよね。好きなことやってるし」
「俺は博士じゃない。やめろよ」