御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

　「おかしくないですか？父親である社長が出来る息子に期待して何が悪いんです？それに本部長はその奥さんを気にすることないと思いますし、やりたいようにやったらどうですか？」

　「……水川お前」

　「だって、きちんとやることやってるし。あ、すいません、私が言うことじゃないですけど、本部長がすごい人なのはみんな知ってますよ。本社にいたときもすごかったって先輩がいつも話してくれてましたもん。その奥さんが何騒いだって弟さんが使い物にならなかったら誰だって跡取りにしませんよ。社長だってそのくらい考えてると思うんですけど……」

　「ははは……」

　本部長は頭を下げて笑い出した。

　「水川。お前もはっきり言うんだな。そうだな、弟のために色々事を荒立てまいとしすぎたかもな。あいつも社会人だ。自分の席は自分で作らないといけないんだよな」

　「そうですよー。私を見てくださいよ、苦手なことにも頑張ってチャレンジしてるじゃないですか」