御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
そう言って、私の目をのぞき込むようにした。
「いいか。きちんと治療しろよ」
私の顔を見て、ふっと笑った。
「真っ赤になってるぞ。お前、可愛いところがあるんだな」
そう言って、私にその軟膏を握らせて、頭をなでていなくなった。
私は本部長のほんのり漂う香水の香りと目の前で見た顔にドキドキしてしまった。
首を優しく触られてドキドキしたなんて、誰にも言えない。
傷は一週間で治ったが、私のドキドキはしばらく本部長の顔を見るたびに続いてしまった。
翌週に入り、イベントの準備が大詰めになって、通常業務が出来なくなってきた。
「香那ちゃん。出来ることは私がやっておくから、そっち行っていいよ」