御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

 そう言うと笑いながら前を向いて車を出した。

 私は緊張して寝られないかと思っていたが、あっという間に寝てしまった。わざとオーディオを止めてくれていたことに後で気がついた。

 「おい、着いたぞ。水川」

 肩を揺すられて、初めて気がついて目を開けた。
 近くに本部長の顔があって、びっくりした。
 そしてあの香り。ドキドキする。

 「なんだ、怖いものでも見たかのようなそのリアクション」

 「……だ、だって、本部長の顔がどアップだったからびっくりしたんです」

 「そうか。よく寝てたな。いびきかいてなかったけど」
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